絶対に知っておきたい、太陽光発電のポイント
太陽光発電は20年もの長期間にわたって使い続けるもの。それにも関わらず「設置後10年で約2割の太陽光パネルは壊れる」など、ユーザに知らされていないポイントが多くあります。
太陽光発電を設置するときに絶対に知っておきたいポイントを7つの段階にわけてご紹介します。
サステナジーでは「設置の設計」を大事にします。業界一般的には、メーカーの「標準工法」に則っていれば、「販売→設置工事」とほぼ直に行きます。しかしサステナジーでは設置工事の前の「設計」が比重の高いこだわりとして入ります。なぜでしょうか?
発電量主義!
太陽光発電は、買って付けたらめでたし、というものではないはずです。本来は如何に多く発電するか、如何に長くその性能を維持し発電し続けるか、が大事と考えます。「発電量」(kWh)こそが使えるエネルギーであり、化石燃料の輸入の置換えであり、公害・CO2の削減であり、売電の収入源です。ユーザー立場のサステナジーは「発電量主義!」です。
発電量の最大化のためには機器そのものの性能もさることながら、設置の仕方が発電量にかなり影響します。南向きに広く一面の勾配屋根があり、遮る物がなければ理想的ですが、現実の屋根は一軒一軒実に多様で、単純なケースは稀です。発電量を増やすだけなら、北側斜面でも発電しますから、どこにでもたくさん貼ろうとなりますが、投資金額に比べて発電量・収入が見合うかの判断が当然あります。すると色々なパズルを解きながら最適な組合せを見出す作業となります。
回路構成
例えば基本的なものの一つに、「回路構成」があります。太陽電池モジュール(パネル)は屋根上ではたくさん並んでいるだけですが、それぞれは電気で結線されています。一般的には、何枚か直列につなぎ、同じ直列枚数の組が並列して、接続箱につながるという結線になっています。省略して6直4並と言ったりします。太陽電池の直流電流をパワーコンディショナーが100数Vの交流電流に変えるために、変えやすい入力の電圧まで高めるためにモジュールを直列につなぎます。実はモジュールの中にもセルという発電の単位になるシリコンウェハー等が72枚など直列になっていて、一つ一つの小さな電圧を積上げています。
なぜ直列枚数を揃えるかというと、これは現在一般的なパワーコンディショナーの特性によります。その時点の太陽電池の発電状況から、エネルギー(電力)を最大に取出せる電圧と電流の組合せ点を探して、交流に変えるという制御をしています。その際に電圧が不揃いだと、高めに電圧をせっかく出している回路があっても、低い方に合わせてそれより高い分がカットされてしまう等、数%〜10%等が有効に電力に変換できず、無駄が出てしまう、という事情があるからです。電圧を決めるのは、大きくは直列枚数、次いで温度の違いや個別モジュールの特性のばらつきがあります。
一つの直列回路の中で、モジュールの電流(発生力)に不揃いが出た場合も、同様に無駄が出てしまいます。電流を決めるのは大きくは日射量で、次いで個別モジュールの特性のばらつきがあります。ですので、日の当たり方が違う面(東と南など)に置いたパネルを一つの直列回路に入れる結線をしてはいけないのが原則です。
では、屋根に載るパネル枚数が、ちょうど例えば5や6や7の倍数にならない時はどうしましょうか? 更に言えば、一つの屋根の向き毎に、同じ倍数が必要です。屋根は太陽光発電のために作られたのでないものが圧倒的に多く、寄棟ですと4面ありますし、凝った構造も無限にバリエーションがあります。そのような中では、どの面に何枚を載せられるかという物理的なスペースと、電気的に無駄を作らない倍数の原則、更に一つの直列回路は一つの向きの面のみで構成するという要因を考え合わせての、最適なやり方を考え、計算し、決めていきます。与えられた屋根の条件は、いわばかけがえのないものなので、物理的に載る枚数を減らさざるを得ない時は、ユーザーさんの気持ちに立てば悩ましいものです。
昇圧
現実の屋根で、きれいに倍数に揃わないことが大半という事情に対応して、昇圧器というものがあります。例えば一つの向きで23枚載る屋根では、パワーコンディショナーの受入可能な直列枚数が5〜7だとすると、7直3並で2枚あきらめるか? となります。がここで昇圧器や昇圧機能付きの接続箱を使うと、「7直3並+ 2直昇圧」という組み方ができ、全体を7直と同じ電圧で入力でき、パワーコンディショナーの制御上の無駄をなくせるとともに、貴重な屋根面を活かすことができます。但し昇圧製品は限られており条件に合う物をうまく組み合わせて使う必要があり、追加投資が4〜7万円以上かかります。また、昇圧をかけることで3%程度のエネルギーの損失があります。それら含めて、倍数の半端枚数を救うべきかどうか、という判断になります。今の制度条件下ですと救った方が経済的にもメリットであるケースが意外に多いです。
陰
更に都市部で悩ましいのは陰の影響です。高い建物や電柱など、陰がかかりますとかかったセルおよびモジュールからの発電が減ります。太陽電池は光を受けてその内部に動ける電子を発生させる原理ですので、一般の電線と違い、光が当たっていないと電気を流さない抵抗になります。従って一つのモジュールに陰を受けても、その直列回路丸ごと(5〜7モジュール分等)の発電が減ります。陰も与えられた屋根のかけがえのない条件ですから、後は如何に影響を少なく回路を組むかです。陰がかかりやすい場所があれば、まずは可能な範囲でそこを避けるように屋根上で配置を考え、次に陰のかかる枚数を減らすような配置を考えます。陰の形が縦に近ければ、モジュールは縦置き・横置きの両方が可能ですから、縦置きにします。また陰のかかる辺りには一つの直列回路を集中させ、他の回路に犠牲が及ばないようにします。昇圧するような枚数の少ない回路があれば、それを先に犠牲にしようとします。陰は時間や季節等で伸び縮みしますから、その動きを想定しながら、犠牲になる時間と面積の積分を意識して決めます。
伸び縮みする陰の影響は、直感的に数値にしにくいので、シミュレーションをして定量化することが大切と考えます。設置そのものの判断に必要な、発電量からの収入や経済性に影響しますから、数値にして把握するべきです。そのためには、その地点の年間を通しての日中の太陽高度と太陽方位が計算できますから、障害物の方位高さなどから陰面積を太陽高度と太陽方位の関数とすれば、その年間の影響がおよそ積分できます。例えば真西より北にある隣のマンションは、直射日光への影響は3%程度だったなどと、やれば判断のための桁は把握できます。
トラブル防止
太陽光発電でのトラブルは、ここのところの販売数増に伴って、国内で増えています。新聞やテレビで雨漏りの例が採り上げられましたし、報道では見ないものの台風で飛散したり、雪の荷重でパネルが変形したり、電気の短絡で一部焼けた、等の事故は一部で発生しています。一軒一軒の現場状況に即した設置の仕方をよく注意するべきです。
メーカー標準工法
ここで国内の業界事情として特徴的な、「メーカーの標準工法」を知っておく必要があります。国内では大企業である4社に代表されるメーカーが、システム部品まで一式につき、更には末端の工事まで責任を持つべきだというような業界の指導構造になっています。各メーカーとも施工研修を行い、認定を取った者が工事監督をした場合のみシステム保証を出すようになっています。システム保証は一般には、機器やその取付けの強度や雨漏りしないことなど、施工に関するところまで含めての全体保証になっています。
昔から太陽光発電業界が訪問販売に依存してきた歴史があり、最近の需要増で再び悪質な売り方や工事に対して苦情が増えているのは報道されている通りです。これに対し、大メーカーなら信頼できるから、メーカーから網をかけてもらおう、という考え方で国内業界は進んできました。
そこで各メーカーからは、「標準工法」や設置できる「標準条件」が出されています。確かにそれらは技術的にも試験や分析のされた結果であり、その通りにやっていれば50年に1度の強風にも耐えられる強度があったり、防水も4重の手立てがされていて強固であったりします。ですのでこれらに従っていればあまり難しく考える必要なく、設置工事に進められます。
但し、これらはメーカーが一軒一軒の現場の条件を把握分析せずともシステム全体保証を出せるためのものですから、結果的に相当に「普通」の条件が揃うことが求められます。条件を満たし工法がそのまま使えるのは、最大公約数的な、「普通」の仕様が当てはまる家に限られます。色々な家からの問合せに応えている立場からすると、これはかなり狭い条件です。メーカーが施工後に検査に来て、ここをこう直しなさい、さもないと保証を出しません、ということは時々行われています。工事会社の一つの堅い対応策として、メーカー各社は少しずつ違う標準工法を持っていますので、その状況に使える工法を持っているメーカーのシステムを勧める、ということまでなされています。標準工法はそのまま従おうとするとそのために家を探さなくてはならないような、本末転倒にもなりかねません。特に都市部においては、問合せを頂いた家の内、「標準」で行けるのはせいぜい2割程度ではないかと感じます。
標準を超えて
これでは、せっかく環境貢献しようか、未来につながる行動を起こそうか、というお気持ちに対し、あまりに応えられないこととなります。サステナジーはユーザーの代表ですから、「ユーザーさんの(環境貢献の)気持ちを実現すること」を大事にします。そこでこのメーカー標準の枠を超えていく決意をしました。
標準の枠を超える例は、業界内で主流ではありませんが、一部でされています。そのされ方は2つに分けられます。1つはメーカーのチェックが緩いのか、なし崩し的にルールをはみ出しているもの。この場合は技術的な危険度の増す条件に対して普通の工法をしてしまっているので、いざ強風が吹いた時などに心配です。もう1つはメーカーともきちんと協議した上で、設置工法については工事会社の自己責任で行っているものです。これをするには工事会社自身で技術的な安全性を確認する必要があり、強度データの調査・取得や、風であれば風荷重の計算モデルの分析、JISや建築基準法の規制との照合など、一連の検討が求められます。責任ある工事会社は自身で保証を提供するはずですので、ユーザーさんのみならず自身のリスクとしてかかってきます。やって分かりましたが、これら検討を詰め切るのは決して容易ではないため、業界内では少数派です。
屋根の縁
標準工法の枠をあえて超える一番のものは、屋根の縁の部分です。一般的な標準工法のルールは、屋根の軒(下の辺)、棟(上の辺)、けらば(螻蛄羽、切妻屋根の横の辺)それぞれから50cmの幅を空けて設置をしなさい、というものです。これは長方形で取りやすい切妻屋根や、大きな家には大丈夫ですが、特に都市部で平均的に小さい屋根サイズや、三角形になる寄棟屋根では、この制限は大きく利いてきます。標準工法では1.6kWしか載らず、屋根に余白も多く残し、経済的にも投資回収はまず望めない家がありましたが、結果的には3.5kWで、かけがえのない屋根も有効活用され、経済的には少し長めでも何とか投資回収が見込まれる条件にまで改善することができました。これは一人の方のお気持ちに対し、あっさり断ってしまうか、こだわってより複雑な検討と調整をしてご意向を実現するか、という大事な分かれ目だと考えています。
この屋根周縁部のルールは、設置したパネルを剥がす方向に働く負の風圧に対するものです。工学的な検討を経て作られた建築基準の中に、屋根材にかかる風圧の相対的な比が係数で示されていて、屋根中央部に対して、周縁部、特に隅角部にはより強く剥がす力のかかる可能性が示されています。特にある屋根の勾配角度における棟の側(上部)の隅角には特に強い力がかかりうるので、最も注意が必要です。標準工法は屋根中央部の負荷で、パネルメーカーと架台メーカーが技術的試験等をして安全性を確保したものです。サステナジーでは標準の工法をベースにしながら、周縁部のより厳しい係数に対して必要な強度の倍率を見て、それを安全側に上回る強度の出るように、架台を増やし屋根との固定か所数を増やす等の対策をしています。
防水配慮
次によく出てくるテーマは金属屋根と防水配慮です。屋根形状に柔軟に対応でき優れた防水性の取りやすいこともあり、色々な種類の板金屋根が使われています。これに対する一般の標準工法は、例えば「スレート・板金金具」と言われて、いわばスレート屋根用の工法ですが似た使い方をすれば板金屋根にも使えますよ、というようなもので、金属屋根に最適化されたものではないと捉えています。固定強度の必要性から、多くの屋根では屋根面に穴を開けてビスで固定する必要があります。スレートや一般の瓦屋根では、穴を開けない設置工法はありません。穴を開けるなりに、シリコンでのコーキングやネジ頭のパッキンなど、4重ぐらいの手立てはされています。金属屋根の場合は(横葺きは別として)、雨の流れる方向には一枚の板金が切れ目なく(少なく)張られ、それらを縦に横隣の板金とつなぐ部分が瓦棒や「はぜ」と言って、突起になっていたりします。波状になっている屋根板であれば高い部分と低い部分があり、当然ながら雨の多くは低い部分を流れます。金属屋根向けにはこの上に出っ張っている部分に固定する考え方の工法が、一部で出されています。それに対し「スレート・板金金具」は防水策はされているものの、低く雨の流れる部分に穴を開ける工法です。避ける工法があれば避けたいと思いませんか?
現実の屋根は様々で、特に金属屋根は様々な状況に使われているためもあり、そもそもメーカー標準条件の範囲外であることもよくあります。例えば緩い勾配(1寸や2寸勾配 )に板金や金属瓦の屋根が使われていることがあります。メーカー標準工法は固定金具の周りに滞留した水を流し排水する関係から、例えば3寸勾配以上が必要である、とされています。別の例では瓦棒の金属屋根の場合は、垂木と言われる屋根構造を支える厚みのある角材が瓦棒の下に入っている作りになっています。多くの標準工法が対応できるのは低い平面の板金部分で、その下は野地板という厚みの限られた板材か合板になっています。ところが標準工法が要求するのは、一つのモジュール当たり通常は2本の桟(レール)が支える内、1本の固定金具は垂木に固定しなさい、というルールだったりします。屋根裏から補強材を当てることも考えられますが、屋根裏のない構造の家ですとできません。それら例のようにいずれにしても「標準」の範囲外となり、工法の対策が必要なのであれば、いっそのこと全く違う工法で、低く水の流れる部分に穴開けをするのでないものを採用していこう、と考えて進めています。
水平方向10に対して垂直方向1や2の傾斜
オープンな説明と合意
これらの技術的な安全性は、ユーザーさんにとっても大事な話ですし、メーカー保証の範囲からも外れてサステナジーが独自に保証をする部分ですので、責任及び権利関係としても、ユーザーさんにきちんとご説明をしています。幸い、メーカーとの間では、きちんと情報提供をして、責任の分岐の確認文書を取り交わすことで、標準工法から外れる部分の技術的影響に対する部分のみは、全体のシステム保証の中ではメーカーとしては免責とし、サステナジーの責任という切り分けができています。逆に言えば、全く違う工法を採った場合でも、機器そのものを損なわないような設置であれば、機器そのものの性能の保証は通常通りしてくれるということです。「幸い」というのは、これがそのような話のできないメーカーとの関係性の場合は、機器そのものまで全ての保証がなし、とされてしまう訳で、事実上はユーザーさんのお気持ちに対して「お断り」しかできなくなってしまいます。(業界内では先述の様に黙ってルールをはみ出る、という例もありますが….)
インテグレーター
なお、このように独自に考え、枠を超えて実践することは国内では少数派ですが、海外では「インテグレーター」と称される人達がやっていることです。海外では業界内の役割分担の考え方が違い、国内で言う「メーカー」は、「パネルの供給者」であり、責任範囲はモジュールの機器性能です。設置場所に対してインテグレーターは技術的な検討を行い、適したモジュール、パワーコンディショナー等を選択し調達し、工法を考えた上で工事も発注しています。
設計からのイノベーション
このように、サステナジーでは設置の「設計」を大事にしています。その効果は、
・長期の技術的安全性とユーザーさんの安心度アップ
・お気持ちのあるユーザーさんに対して、経済的な設置で応えられる確率のアップ
・リスクを取って17年保証を出しているサステナジーにとっても、保守運用を予算内で行える確率アップ
です。
特に都市部では、標準工法では2割程度しか応えられなかったのが、6割ぐらいまでは経済性も備えた提案として応えられるようになったと感じています。
サステナジーは「ユーザーの代表」として「インテグレーター」の立場から独自に考えを進めます。従来の業界の慣習はその原点に立ち戻って理解をし直し、進んでいる前線を把握するとともに限界も知った上で、先行的な考え方に賛同してくれるところと組んだりしながら、太陽光発電や環境エネルギーの普及に向け、使う側からのイノベーションを創っています。















